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忘れゆく記憶 ページ20

あれから2年がたった。







21歳になり、キャバクラでの仕事も慣れてきて






指名が増えた。







一回に多額のお金を使ってくれる








俗にいう太客も増えた。









2年前よりはるかに慣れて





はるかに大人になった。










感情の波も穏やかで








性格も変わった。







打たれ弱かったあの頃とは違って









上に上がるために何人もの客を





底まで落とし切ってきた。












来世はきっと幸せになれないほどに。








「お久しぶりです〜〇〇さん!」









「寂しかったんですよー?」







「えー!いいんですか?嬉しい!」








思ってないことを言うことが増えて。







何が嘘で本当か分からなくなることが多い。











そんなある日だった。





初回のお客様が来たということで




キャストは順番にそのお客様がいる卓に挨拶しに行く。









送りを貰えれば、新規のお客様として扱うことになる。












次は私が行くことになったとき。








心臓が止まった感覚だった。






息ができなくなった。












環境音さえも耳に届かなかった。








それだけの衝撃と、消えてしまいたい衝動に駆られた。










明らかに大学生たちで




端でつまらなそうにしてる彼は










会いたくなくて、会いたかった人。








ざわつく心を落ち着かせて




いつものように笑ってみせようとする。





引きつる顔。









「蓮です、はじめまして」








彼の前でこの名前を名乗るのは





すごく穴があったら入りたい気分で










チラリと彼を見るとやっぱり驚いた顔をする。








黒「っ、乃杏、」






名前を呼ばれて跳ねる肩。







蓮くんのとなりにかけて、名刺を渡す。






黒に金字で蓮とお店の情報が書かれた名刺。








念を押すように「蓮です」、と笑ってみせた。







ひどく震えた手で、名刺を受け取る。











失望したでしょ?







まさか中退でキャバ嬢なんて。






それ以降、蓮くんに少し背を向けるように



接客に専念した。











いつもあっという間な10分のはずなのに





長く変な汗をかく時間だった。










黒服に呼ばれそのまま初回の卓周りを終えると








閉店間際、送りがあると呼ばれた。










こそっと教えてもらうと、目黒様です、とのこと。



















手足の震えがまして、心拍が加速した。

作者より(4/5更新)→←触れた手と触れられた熱



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作者名:あまつかくらげ | 作成日時:2024年3月20日 21時

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